金属加工(材質と接合方法)について

当社で使用する材質や仕様について、簡単にご案内いたします。

アルミニウム製加工品について

材料

アルミニウム(aluminum)は、原子番号13の元素です。
「アルミ箔」、「アルミサッシ」、一円硬貨など非常に生活に身近な金属です。

アルミニウムは鉄の約35%の比重であり、密度は (2.70 g/㎤) と低く金属の中でも軽量です。
板材では主にA5052(マグネシウムを主要添加物質としたAl-Mg系の合金)が使用されます。A5052は種々のアルミ合金の中ではちょうど中間程度の強度を示す代表的な材料です。耐食性、成形性のほか、溶接性もよい材料です。
2000系合金や7000系合金は、曲げ加工や溶接は出来ません。
接触している部分が黒く汚れてきます。(一円硬貨を触っていると手が汚れるのと同じ)
次第に表面の光沢がなくなり、白く色が変わってしまいます。(錆の発生)

  • 光沢のある状態
    光沢のある状態
  • 白く変色してきている状態
    白く変色してきている状態
表面処理

表面が白く光沢がなくなるため、防止策としてアルマイトや塗装が必要となります。

アルマイト処理について

陽極酸化による酸化被膜はアルマイトとも呼ばれ、アルミニウムの耐食性、耐摩耗性の向上、および、装飾その他の機能の付加を目的として行なわれます。
一般的には白(シルバー)や黒になりますが、赤や青にすることも可能です。

・アルマイト処理後の板材から加工することも出来ますが、
  1. 曲げ加工部はアルマイトの膜がひび割れ剥離する場合があります。
  2. 溶接は出来ません。リベットやボルトでの接合となります。
  3. 切断面にはアルマイトの膜はありません。
・形状を製作後 アルマイト処理をする場合は
  1. 吊り下げて処理するため、穴が必要になります。
  2. サイズに寄りますが箱内面の一部がアルマイト処理出来ないことがあります。
  3. 板材に処理するよりも加工費が高額となります。(重量換算)

塗装

アルミニウムは塗料の密着が悪い材料です。
衝撃などで塗料の剥離の可能性があります。
塗装の際にはエポキシ系のアルミニウム専用プライマーが必要となります。

研磨

アルミニウムは表面が柔らかくキズが入りやすいので#400研磨は出来ません。
(加工は可能ですが、すぐにキズが目立つ様になります)
HL(ヘアーライン)は加工可能ですが、光沢はなくなってきます。

接合

アルミニウムの溶接はステンレスと比べると溶接ビード(盛り上がり部分)が大きくなります。
この溶接ビードを切削してしまうと溶接部の強度が少なくなり割れの発生する可能性があります。
溶接割れを防ぐ方法としては反対側を溶接するか、溶接ビード少し残して仕上げる事になります。
またステンレスと比べても歪が大きくでますので、安易な溶接箇所の追加は出来ません。


  • アルミ溶接部

  • ナットサート

  • リベット接合

リベットやナットサートを使用したボルト接合が便利ですが、写真の反対側には出っ張りが出来てしまいます。

曲げ加工

アルミ合金のA5052を曲げ加工する場合は、曲げ部の内側のRは板厚以上必要となります。
5.0mmの板材を曲げる場合は内R5mm以上必要となりますので、外側のRは10mm以上
となってしまいます。

蝶番等について

アルミニウム製の蝶番やパチン錠は殆どありません。
接合する場合は溶接は出来ない場合が多くボルト、リベットでの接合となります。

ネジ加工(タップ加工)について

アルミニウムは一部の合金を除いて柔らかい金属です。
ネジ加工(タップ加工)については注意が必要です。
頻繁にボルトを締める箇所は、ナットサートやヘリサートを使用する事が必要です。
何度もボルトを締め直すとネジ加工(タップ加工)部分のネジヤマが緩くなってきます。

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