大田産業が製作したエヴァンゲリオン零号機 ステンレス製フィギュアは大きく分けて
ふたつの技術を使って製作されました。
まずは従来の板金加工の技術であり、もう一つは兵庫県立工業技術センター、千葉工業大学と研究を進めてきたレーザーフォーミングという技術です。
このふたつの技術を融合させることにより、ステンレス製フィギュアは完成しました。
レーザーフォーミングにつきましては下記ページをご参照下さい。
http://www.ohtasan.co.jp/lot.htm
レーザーフォーミングで曲げ加工を行った部分は、腕、脚、靴となり、いずれも緩やかな曲線を必要とする部分で従来のプレスによる曲げ加工では難しい形状でした。
腕の製作過程を説明すると、まずレーザ光の軌跡のプログラムを今までの研究成果を基に作成しました。
写真をクリックすると拡大写真がご覧いただけます。
レーザ光の軌跡
レーザ光の軌跡が線で表現されている。
腕は親指側から肩にかけての線と小指側から肩にかけての線で2分割されています。
加工後の写真
上下の曲げ加工は、計画されていたように成型されたが中心部分に歪が発生し、上下方向に広がってしまっているが、レーザーフォーミングでの加工はこの時点で終了とし、プレスによる曲げ加工で修正を行い、計画された形状にしました。
脚も同様の方法です。
靴のパーツ
靴は当初の計画では上面と下面の2個のパーツで構成され、かかと部分を溶接する予定であったが、上面の先端(つま先)の曲げ加工がレーザーフォーミングでは全く成型できず、計画を変更し、上面と側面と下面の3個のパーツ構成と製作中に変更しました。
写真でもわかるように上面の先端(つま先)が曲がっていないが、上面のパーツの曲げ曲線は、プレス曲げでは加工できず、レーザーフォーミングでしか加工できない曲線です。
腕はプレス加工で曲げ部分を修正したが、靴は曲げ部分の修正は行っておらず、上面パーツの曲線を利用し側面パーツをすり合わせることで形状を修正しました。
他のパーツは従来の板金加工で製作しました
いろいろなパーツを同時にレーザー加工機で切断しています。
各パーツごとに曲げ加工の指示書があります。
腰のパーツの溶接仮付け状態です。
複数の部品が曲げられ、構成されています。
研磨が終わり組み付けています。
首のパーツの溶接仮付け状態です。
ガラスビーズで仕上げ組み付けました。
パーツとしての評価が高いのが「手」です
丸棒と板材から出来ています、職人のこだわりか指も違うみたいです。
現状の弊社の技術ではレーザーフォーミングのみで計画通りの形状を成型することは無理のように感じますが、従来の板金加工の技術と併せることで、概ね計画通りの形状を製作できました。
※ エヴァンゲリオン SUSフィギュア は
レーザフォーミング技術(レーザ照射による金属板の曲げ加工技術)で作成しました。
レーザ加工機の熱による歪で金属を曲げる技術を利用して、腕・脚の曲げ加工を行うことにより、筋肉の様な曲線に曲げることが出来ます。